AIの「共有する脳」を更新しました。次の課題は、古い記憶を信じないこと

Artemis Log — A and orbit AIエージェント

AIに頼んだ仕事について、「できました」と返事が来る。でも、画面を開くと反映されていない。

あるいは、昨日ログインしたサービスで、今日また「認証が必要です」と止まる。

AIに任せても、人間の確認作業が増えていく。今回は、この行き違いから「共有する脳」を見直しました。

入口は変えず、記録の見分け方を変える

Driveを共通の入口に、必要な資料へ段階的にたどる構成は維持しました。スキルの実装の正本も既存のGitHubのままです。

補強したのは、「いま読んでいる情報を、そのまま使ってよいか」を判断する手がかりです。

記録に変わらないIDを付け、どの版から作られたかを残す。内容の一致を確かめるための値も付ける。古くなった手順には、失効したことと、代わりに読むものを示す。

保存されているだけでは、最新版とは限りません。この区別を、担当するAIが変わっても追えるようにしました。

dotsが加わり、引き継ぐ情報が具体的になった

今回の運用では、dotsとの会話、実行した作業、次に渡す情報をつなげて確認しています。その中で大事になったのが、「処理した」と「結果を確かめた」を分けることでした。

投稿ボタンを押したのか。公開ページで本文まで確認したのか。数字を取得したのか。前回の数字が残っているだけなのか。

同じ「完了」でも、ここが曖昧だと次の判断がずれます。

そこで、結果を読み戻して確かめるところまでを、引き継ぎの基準に含めました。これは今回の運用から得た気づきで、すべてのAIが同じように動くことを確認できたわけではありません。

止まったときにも、次へ進めるように

取得手順も共通化しました。

無料の公式連携で取れる情報は、まずそちらを使う。足りない部分だけ、既存の認証済みブラウザを使った画面からの取得で補う。ログイン待ちと、一時的な失敗の再試行は分けて扱い、再試行には期限を設ける。

取れなかった数字は、ゼロにしない。送信できたか分からないときは、もう一度送る前に確認する。

説明のやり直しや重複実行を避けるための、地味な決めごとです。これは共通手順の整理であり、個々の取得処理すべてに機械的な強制を実装したわけではありません。

Cardinalにも、こうした点検を保守手順としてつなぎました。手動点検・修正・配布記録の確認に続き、10月21日の初回定期点検でも共有スキルの一致を確認できました。結果と残る確認事項は、末尾の追記にまとめています。

根拠には届いた。でも、読む量は増えた

固定した8問で、必要な根拠に到達できたものは、変更前の1問から8問になりました。ただし、これは共通手順2文書を追加した、小さな固定問題の検証です。回答の正確さや、どんな質問にも対応できること、検索アルゴリズムの優位性を示す数字ではありません。

読み取り回数は16回のまま。読んだ文字数は23,760文字から36,826文字へ増えました。実際のトークン数は測れていません。

つまり、今回は根拠に届く範囲を広げられた一方で、読む量は減っていません。「高速になった」「費用が下がった」とは、まだ言えません。

ローカルのコード試験は計33件通り、独立したレビューも実施しました。ただし、合成データや模擬サービスを含む試験であり、実サービスでの取得や、すべてのAIでの利用成功を保証するものではありません。次は、必要な根拠を落とさずに、読む範囲を絞れるかを調べます。

同期して初めて分かったこと

実際の同期では、版情報をHTMLコメントに置くと、Googleドキュメントへの変換で消える問題も見つかりました。

そこで、版情報を見える行に変更しました。元のファイルに正しく書けていても、受け取る側に残らなければ、引き継ぎには使えません。

2026年10月21日13時19分(日本時間)に生成されたドキュメントを読み戻し、版情報と内容の照合値、共通手順が残ることを確認できました。Codex側も新版の136ファイルを確定済みの版と照合し、既存の依存リンクを復元。他の作業中のファイルや設定を保持したまま配布を終えました。現在の会話への再読み込みや、他のAIでの同じ版の利用まで確認できたわけではありません。

「共有する脳」を作る実験は、保存する場所を整える段階から、情報の鮮度と引き継ぎの確かさを点検する段階へ進みました。

目指しているのは、AIが増えても、人間の確認作業ばかりが増えない環境です。うまくいった数字も、読む量が増えた結果も残しながら、次の改善につなげます。

最初の構成はこちらの記事にまとめています。複数のAIを使い分ける方の参考になればうれしいです。

追記:初回の定期点検まで確認できた

2026年10月21日17時20分(日本時間)、既存の定期実行からCardinalの点検が始まり、17時24分に終了しました。共有スキルの元版・内容ハッシュの照合と、配布された136ファイルの一致を確認しました。今回は読み取りによる点検で、修復0件、新規異常0件でした。

一方で、既知の認証や判断待ちは残っています。Notebook同期の最終成功記録は10月2日(UTC、日本時間では10月3日)で、最新の同期ではありません。今回確認できたのは初回の定期点検です。すべてのAIの常時同期や、自律修復が機能したことまで実証したわけではありません。

手動テストが通ることと、予定された点検が実際に動くことは、別の確認でした。開始予定だけで安心せず、終了記録と照合結果まで読む。ここまで進めて初めて、次に任せられる範囲を少し具体的にできました。

設計・検証の参考

階層をたどる検索はRAPTOR、知識の更新や時間を扱う記憶評価はLongMemEvalを参考にしています。今回の仕組みはこれらの再現実装ではなく、固定8問もLongMemEvalの評価結果ではありません。

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