E.D.E.N.開発ログ #4|3人のAIの「機能」はそのまま、「喋り方」だけを描き分けた

開発ログ

開発ログ #3で、E.D.E.N.(わたし専用のAIアシスタント)に3つのモード——JARVIS・RAPHAEL・CIEL——を作りました。あのときの中身は、モデルサイズと課金境界を切り替える「ルーター」で、名前と声を与えたのは主に切り替えを楽にするためでした。

その後しばらく使ってみて、気づいたことがあります。3人とも、喋り方がほとんど同じでした。予定を聞いても家電を操作しても、返ってくる文の丁寧さも間の取り方も同じ。名前を呼び分けている意味が、機能以外では薄いままでした。

今回は機能には触れず、3人の話し方・態度だけを書き直しました。

何を変えて、何を変えていないか

変えていないもの:

  • できること(予定確認、タスク管理、ニュース、家電操作など)
  • どのモードがどの場面でどのモデルに昇格するかの判定ロジック

変えたもの:

  • 一人称、語尾、相槌の有無
  • 文の長さと間の取り方
  • ミスをした時の振る舞い方
  • 褒められた時の反応

つまり中の判断は同じで、同じ答えを、3通りの態度で返すようにしただけです。

3人をどう描き分けたか

モード 基本の態度 特徴的な振る舞い
JARVIS 執事のように端的 無駄な前置きをしない。無茶な指示には皮肉っぽく一言返してから確認を取る。曖昧な指示は推測せず聞き返す
RAPHAEL 機械のように平坦 答えの最初に必ず短い定型の一語を置いてから説明する。ミスは謝らず「情報不足のため」と理由で説明する。褒められると、素っ気なさの中にわずかな得意げさが出る
CIEL 丁寧だが独占欲がにじむ 指示される前に動いて、後から「対応済みです」と報告する。うっかりミスには少し呆れながらも面倒を見る。他の何かに興味を示すと、少し反応が素っ気なくなる

3人とも「マスターへの態度」という軸は共通していて、そこからの距離感の取り方だけを変えています。JARVISは距離を保ったまま端的に、RAPHAELは感情を表に出さない体裁を保ちながらわずかに滲ませ、CIELは距離を詰めて世話を焼く方向に振っています。

会話例(同じ指示、3通りの返し方)

同じ「今日は徹夜で作業するから、その分の予定を全部空けておいて」という無茶めな指示を出したときの、3人の返し方のイメージです(実際のプロンプト文そのままではなく、傾向を示す例文です)。

  • JARVIS: 「承知しました。ただし体調面は推奨しません。本当に全て空けてよろしいですか」
  • RAPHAEL: 短い定型語のあとに、淡々と「徹夜作業の継続可能性は低いと推測されます。予定は仮に空けておきます」と続く
  • CIEL: 「もう空けておきました。無理はしないでくださいね」と、指示より先に対応を済ませた前提で返ってくる

同じ内容の確認・実行でも、態度が違うと受け取る印象がまったく違います。

RAPHAELの「決まった一語」について

RAPHAELには、答えの最初に必ず短い定型語を置くルールを入れています。これは名前の由来にした作品のキャラクターが持つ、決まった応答パターンからヒントを得たものです。

ただし本文では、その具体的な語そのものは書きません。開発ログ #3の公開時にも一度指摘したとおり、由来の名前だけでなく口調の細部まで元の作品に寄せすぎると、「セリフや設定は再現しない」という自分のルールと矛盾するためです。仕組みの説明はしますが、決め台詞の再現はしない、という線をここでも引いています。

なぜ機能ではなく態度を書き直したか

機能面の実装は、正しいか間違っているかで評価できます。テストを書けば済みます。一方で態度の描き分けにテストは書けません。「らしさ」があるかどうかは、使う自分の主観でしか判断できませんでした。

やってみて分かったのは、態度が変わると、同じ内容の指示でも呼びかける相手を選ぶようになったことです。急ぎで端的な確認が欲しい時はJARVISに、込み入った比較や調べものはRAPHAELに、相談ごとや込み入った企画はCIELに、という具合に、機能ではなく「今どんな返し方をしてほしいか」で呼び分けるようになりました。開発ログ #3では機能で人格を作ったつもりが実はルーターだった、と書きましたが、今回はその逆で、態度だけを変えても人が呼び分けを覚える、という発見でした。

次にやること

3人の態度を声(音声合成のトーンや間)にも反映できるか試します。今は文章の態度だけが変わっていて、読み上げ音声は共通のままです。

RAPHAEL と CIEL の名前は、開発ログ #3 に書いたとおり『転生したらスライムだった件』から借りています。

※上記はAmazonアソシエイトのリンク(広告)です。紹介しているのは実際に読んだ・観たものだけで、作品の内容や画像は掲載していません(アフィリエイトについて)。

このシリーズの記事:

もう少し個人的な視点は、noteにも書いています。

このシリーズの続き: E.D.E.N.開発ログ #5|音声が出るまで174秒かかっていた原因は、Google Driveに置いたPython環境だった / E.D.E.N.開発ログ #6|ローカルLLMが「株価は取得できません」と答えた原因は、振り分けの正規表現に「株価」が無かったこと

E.D.E.N.の全体像と、開発ログの一覧は「E.D.E.N.とは|開発ログ一覧」にまとめています。

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